印伝の鞄を修理してもらった
革製品はお手入れが大事。
昔、子供の頃、姉から印伝の鞄をもらった。
模様とデザインが可愛らしい小ぶりの斜め掛けポーチである。
模様 | 印伝の世界 | 印傳屋 | INDEN-YA
https://www.inden-ya.co.jp/about/patterns/
印伝というのは、鹿革に漆で模様加工をした日本の工芸品である。
様々な模様の印伝と牛革を組み合わせた鞄や小物はシンプルだが凝っていて存在感がある。かつ、丈夫で長持ちする。お手入れさえきちんとしていれば…
そう、当時子供だった私は革製品など扱ったこともなく、当然お手入れについての知識も一切なく、何もしなかった。その結果、牛革部分がひび割れてしまった。そのまま使っていたら切れ込みが入って部品が壊れてしまった。それでもデザインが良いので騙し騙し使っていたが、あまりのボロボロさに最近はお蔵入りしていた。
しかし最近、都内に印伝の直営店があることを知り、無理かも…とは思いつつ修理依頼を出した。
店頭では丁寧な説明を受けることができ、全体的に傷んでいるので本店で見積もる、とのことだった。
後日、電話で修理の見積金額を聞いたら飛び上がってしまった。
「新しいポーチを買うほうが安いぃぃ!!」
というくらいの金額だったので…
どうしてそうなったかというと、
・部分修理ができない、印伝以外の革全体がボロボロになっている。
印伝以外の牛革部分をすべて交換しなければ修理できない
・鞄を全て解体して作り直すので技術料がかかる
・20年以上(もっと?)前の物なので、同型の鞄は在庫もない
この説明を受けて、まあ、そりゃそうだよな…と妙に納得した。
(私も技術者のはしくれ、もし自分がこれを修理するなら…Σ(゚д゚lll)
金額にはさすがに悩んだが、大切なポーチなのでここは!と思って修理を決断。
そしてしばらく経ち、修理完了の電話がかかってきた。
「とっても綺麗になりましたよ!すごい!新品みたい!」とのこと。
ほほー、気になるわ。どうなったんだ私の鞄?
そして受け取り。
本当に新品みたい…!これ、売り物では?と思ったくらい。
印伝部分はもちろんそのままなのだが、元からさほど傷んでない。
そして印伝以外が全部交換されて新品になっている。
また、鞄自体が気持ち大きめ?になっていた。
尋ねはしなかったが、革がそれだけ縮んでいたのかもしれない。
これは使い心地が良さそうだ。
また、交換前の(取り外した)革を持ち帰るか聞かれた。
たいていはお店側で処分することになるそうだが、鞄の構造を見てみたかったこともありもらってきた。
見てみたら、牛革に加えて布、ファスナーなども全部交換されていた。
特に牛革部分は驚くほどボロボロでカサカサに乾燥していた。
よく今まで使ったものだと自分に感心した。
交換してもらって、本当に良かった。
メモ:印伝のお手入れについて
購入時の説明書に書いてあるとのことだが、手元にはない。
店員さんから聞いた話とネットで調べた情報だが、以下の通りである。
・印伝(鹿革+漆)
普段はなにもしない。
ぬれたり汚れたら速やかに水分や汚れをとって乾かす。ゴシゴシ拭かない。
オイルやクリームなどを付けないこと(シミになって落ちない)
・牛革(印伝ではない部分)
通常の革製品と同じ。ミンクオイルなどでお手入れするのがベスト。
ハンドクリームでもまあなんとかなる、らしい。
・その他部品
壊れたら交換(有償/無償)
ということで、これからは時々お手入れをしながら、
大切に使おうと思う。